会社員の特権である育児休業。条件によってはパートタイムやアルバイトの方でも取得可能です。
子どもの育児のため1年間休むことができますが、お金やキャリアの不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
昨今ではそのような不安解消や個人のスキルアップのため、休業中に副業をする方が増加傾向にあります。
しかし、休んでいる間の副業はしてもいいのか気になるところですよね
この記事では、育休中にもらえる社会保障や副業は大丈夫なのか、給付金の支給停止になる可能性などを解説します
出産時・育児休業中にもらえるお金
出産時や育児休業に入るとさまざまなお金がもらえます。
普段勤めている方がどのようなお金がいつ入るか、社会保険・労働保険・自治体ごとに見てみましょう
〔社会保険〕出産一時金と手当金、保険料免除
まずは社会保険(健康保険・年金)から
健康保険は出産育児一時金・出産手当が支給され、保険料が免除されます。
出産育児一時金は ”出産一時金” の正式名称で、働く女性も扶養されている女性も支給額は50万円*。
*産科医療補償制度に加入していない医療機関での出産は、48.8万円
出産は病気ではないため3割負担とならず、病院で全額払となるとかなり高額
厚生労働省の資料によると出産平均費用は48.2万円なので、その費用を助成するために支給されます。
イメージ的には支給されるというより、病院での支払う出産費用をおさえるための一時金ですね
直接支払制度を利用すると、病院が費用請求してくれるから
50万円を超えたら差額を払うだけでOK!
たまに全額自己負担してから健保へ請求する方もいたけど、
クレジットカード可の病院でポイントがつくからかな?
出産手当金は出産により会社を休み、給与が発生しない人のための給付。
出産を控えている方は、出産予定日の6週間前(42日間)から休むことを会社に請求可能・産後は8週間(56日間)の休業を経て育児休業に突入します。
休業中ほとんどの会社は給与が出なくなるので、産前産後期間の無給の補填が健保から出るイメージですね
金額は日割り✖️日数でMAX 98日間支給ですが、計算が少し複雑なのでざっくりとした金額は「月給➗30日✖️2/3」で算出してみましょう
そしてみなさんが気になる「いつもらえるの?」というところですが、生まれてから2〜3ヶ月はかかります…
なんでそんなに時間がかかる?!となりますが、理由は健保に請求できるのが一定期間過ぎてからのため。
請求書の「医師の診断」部分を書いてもらう
会社は産後期間が終わり、産後の欠勤が反映される給与日が過ぎるまで待つ
支給決定・振込まで約1ヶ月ぐらいかかる
本人口座へ直接振り込まれる or 会社経由で給与にて振り込まれる
健保的には「休んで給与0円が確定してからじゃないと認定できません」ということなので、給与の〆日・支払日や会社担当者がいつ提出するかによりもらえる時期が前後します。
あまりに遅い場合は会社に問い合わせてみてね
(預かり期間が長いので、提出漏れの可能性あり)
そして保険料が免除されるというのはかなり嬉しいポイント
会社員であれば育休から復帰するまでずっと免除されます。
同じように厚生年金も保険料が免除されるので、月に3~4万円浮くと考えるとありがたいですよね。
厚生年金は特に優れていて、今まで給与天引きされていた保険料を支払ったとみなしてくれます!
健康保険も支払ったとみなされるけど、
保険料がいくらでも医療費には関係ないもんね〜
学生や失業中の免除とは異なり、将来的な年金が “未納” ではなく “納付済み” となるので、休んでいる期間も安心ですね
まとめると以下の通りです。
〔雇用保険〕育児休業給付金、保険料なし
続いて雇用保険
雇用保険からは ”1歳になるまで会社を休み復帰予定がある人” に育児休業給付金が支給されます。
育児休業給付金は、産後56日経過後から支給対象期間に入り、子の1歳の前々日まで受給することができます。
出産手当金と同じくもらえるまでに時間がかかるので、目安は育休開始してから3~4ヶ月後に2ヶ月分振り込まれるとご認識ください
ざっくりとした金額は、育休半年までは「月給➗30日✖️67%」半年経過後は「月給➗30日✖️50%」と、約10ヶ月分あるのはありがたいですよね…!
保険料は社会保険と違い免除はありませんが、月給✖️料率で保険料が決まるので休業中は実質0円です。
まとめると以下の通りです。
〔自治体〕出産・子育て応援給付金、児童手当
最後に自治体からの給付金です。
各々の市で細かいルールは異なりますが、出産・子育て応援給付金(計10万円相当)と児童手当(1.5万円/月)が支給されます。
出産・子育て応援給付金は、2023年1月から各自治体によって支給され始めている新しい給付金。
妊娠中と出産後にそれぞれ申請すると、現金・クーポンなどで5万円相当分ずつ・計10万円相当を受け取ることが可能
出典:https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000586377.html
申請の時期や方法などはお住まいの市のHPをのぞいてみてください!
児童手当は生まれてから中学校を卒業するまで支給される手当です。
支給額は3歳までは1.5万円/月、3歳以降は1万円/月ですが、年収が高い方は5,000円/月となったり支給対象外となる可能性があります
また、さかのぼり請求ができないので、生まれたらなるべく早く手続きをしましょう!
目安は生まれた翌日から15日以内!
出生届と一緒に提出するのがおすすめ◎
育休中の副業は法律的に禁止ではない
本来子の養育のために取得するのが育休ですが、スキマ時間を作って少しでも副業したい…と考える方も増えてきました。
給付や保険料免除を受けれつつ副業で働いても問題ないか?と心配になりますよね
結論、法律的には禁止されていないが注意してほしいことが2点あります。
会社の就業規則を確認する
育休中の副業は法律的に禁止されているわけではありませんが、会社によって副業自体を禁止しています。
こっそり副業することはできなくありませんが、バレたときには懲戒処分を受ける覚悟をしておかなければなりません。
まずは副業してもいいか?禁止されていたらどんな懲戒処分が科せられるか?は確認しておいた方が無難です。
見つかって一発でクビっていうのは少ないと思うけど、
規則で禁止されていたらリスキーだね…
副業についてはこちらの記事で詳しく書いているので、ぜひご一読ください
育児休業給付金が出なくなる可能性あり
育児休業給付金は働き方によっては支給停止となる可能性があります。
1番長期で多くもらえる給付金なので、どうなったら支給停止なのかしっかり把握しておきましょう
まず育休中に臨時的かつ月10日(10日を超える場合は80時間)以内で働く場合、育児休業給付金は支給されます。
あくまで育休から復職ではなく、不定期・一時的な労働であれば停止にはならないということですね
ただし休業中の職場で働いたら、給与が支払われた分給付金がカットされる可能性はあります。
副業の場合も臨時的かつ月10日(10日を超える場合は80時間)以内で働く場合、育児休業給付金は支給されます。
本業の一時的な就業とは異なり、副業の収入がいくらでも給付金のカットはありませんのでご安心ください◎
この副業は雇われて働くケースなので、
本業の会社に労働時間・日数の申告や勤務表の提出などが必要!
出典:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000178877.pdf
では、雇われずに自分の裁量で働く業務委託の場合はどうでしょう?
今のところ厚生労働省の資料に明記されていないため、働く時間や収入による給付金カットとなる可能性はかなり低いです。
ただし、基準がないということは給付金を申請するハローワークでの判断になったり、今後定められることも十分に考えられます。
副業として業務委託の仕事を請け負う場合でも、不定期の仕事かつ通算して月80時間以内の作業時間におさえておくと安全だと思います
副業を黙っていたらバレる?
就業規則で禁止だから黙って副業しよう…となる方もいらっしゃるかもしれません。
会社へ申告をしなければ、ハローワークにもバレず給付金を全額もらえるのでしょうか?
バレる可能性は低いが0じゃない
副業していてもバレるかどうかでいうと、あくまで自己申告制なのでバレにくいとは思います。
ただし、本来カットされる給付金をもらい副業収入もあることを知られた場合、快く思わずハローワークに通報する方もいるかもしれません。
また、ハローワークは会社からの届出(義務)により、育休取得した本人の休業前6ヶ月分の賃金とマイナンバーを把握しています。
もしマイナンバーを使って自治体へ所得照会できるなら、副業分の所得がバレる可能性も0.01%ぐらいあるかな…と思ったりしています
照会できても前年度所得だからすぐに反映されていないし、
ほぼないと思うけど、100%ないよ!とは言い切れないと思う
バレたら給付金の3倍返還?!
もし副業を申告せず本来カットされる育児休業給付金を全額もらっていた場合、不正受給と判断される可能性が非常に高いです。
バレてしまった場合、ハローワークから以下の罰則が科せられます。
- 不正のあった日から支給停止
- 不正受給分は全額返還
- 悪質な場合は受給額の最高2倍の金額納付
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001127574.pdf
2.の全額返還と3.の2倍の金額納付の合計で、最高3倍の給付金を納めなければいけないかもしれません…
全額ではなく未申告分からだとは思いますが、本来払わなくていいお金が出ていく上に社会的信用を失ってしまうので、不正受給はダメ。ゼッタイ。です!
【まとめ】給付金を満額もらうなら働く時間に注意!
今回は育休中にもらえる社会保障や副業は大丈夫なのか、支給停止になる可能性を紹介しました。
普段会社で勤務している方が、出産時と育児休業中にもらえるお金を社会保険・雇用保険・自治体ごとに分けると…
社会保険:出産育児一時金と出産手当金、保険料免除
雇用保険:育児休業給付金、保険料0円
自治体 :出産・子育て応援給付金、児童手当
さまざまな給付や免除を受けることができますね
育休中に給付や免除を受けながら副業をすることは可能か?という点ですが、法律的には禁止されていません。
しかし副業禁止の会社であれば懲戒処分を科せられる可能性があるため、まずは就業規則を確認しておきましょう。
本業とは別の就業先で副業することは可能ですが、
- 臨時的な仕事
- 本業へ勤務日数、時間を報告する(育休申請時にハローワークへ提出)
- 就労は月10日(10日を超える場合は80時間)以内におさめる
この3点を守れば給付金は全額支給。規則的に働いていたり、就労条件を超えれば全額支給停止となるので要注意
尚、業務委託は厚生労働省の資料に明記されていないため、働く時間や収入による給付金カットとなる可能性はかなり低いです。
ただし、各ハローワークの判断や今後は制限ができる可能性もあるため、不定期の仕事かつ通算して月80時間以内の作業時間におさえておくと安全だと思います。
育休中の 働き方 | 就労上限/月 | 収入上限 | 育児休業給付金 | ||
全額支給 | 一部支給 | 全額 支給停止 | |||
本業 | 10日以内or 10日を超えても 80時間以内ならOK | あり | ✔️ | ✔️ | ✔️ |
副業 | なし | ✔️ (就労上限内) | ✔️ (就労上限外) | ||
業務委託 | 定めなし | なし | ✔️ |
副業を会社に申告せず、育児休業給付金を全額もらい続けると不正受給と判断される可能性が非常に高いです。
会社やハローワークにバレることはレアケースと思いますが、誰かに知られてしまいハローワークへ通報→調査が入り給付金の返還というパターンもありえなくはないです…!
ちなみに社会保険の出産手当金や保険料の免除は、本業が育休状態であれば副業しても収入があってもほぼ関係ありません。
育休中の副業は、就労日数・時間に上限に気をつけて正しく社会保障を受けましょう