会社員を辞めて独立するというのは、人生において大きな出来事です。
いざ会社を退職するぞ!と決意しても、まずなにから手をつけていいのか分からないですよね
慣れていない方にとって、あっちこっちで面倒な手続きがたくさんあります。
今回は人事労務の実務歴12年の筆者が、フリーランスとして独立する方へ辞める前から辞めた後までの退職ロードマップを解説します
事前に流れを整理しておき、サクっと手続きを終わらせてしまいましょう!
退職するまで
まずは退職するまでの流れです。
退職日はご自身で決めますが、ぶっちゃけいつにしたらいいか分かんない…という方も多いのではないでしょうか?
会社側の立場としては、給与の〆日を退職日としてくれると諸々の計算が楽なので、ありがたいです…
ただ、辞める側の立場で考えると、月末退職がオススメです。
月末〆日の会社だとぴったりだけど、
例えば当月21日〜翌月20日のように月途中で〆日だと、
給与計算とかがちょっとだけややこしくなるんだ〜
それって会社の都合ですよね…(by⚫︎ろゆき)
ということは、絶対〆日にしなくてもいいんだね!
なぜ月末退職がオススメなのか?は、社会保険の保険料に関わってきます。
社会保険料については、このような感じで別記事にて解説しています!
退職意思を伝える | 2~3ヶ月前
退職までの基本的な流れは以下の通りなので、退職日が決まったら上司へ報告しましょう。
ポイントは相談ではなく報告 退職の意思が固いということが伝わる
理由は全てを正直に話す必要はないので、本音と建前を使い分ける
部下の退職意向・手続きの申請連絡を人事へ行う
退職の書類や手続き日の調整等連絡が届く
最終出勤日までに引き継ぎが終わるよう調整
取引先へ担当者変更の挨拶をしておく
同部署やお世話になった人へ退職連絡しておくと尚良し
基本的には、就業規則に書いてある “退職は⚪︎日前までに申し込むこと” を守ればOKですが、
引き継ぎ業務や、人が足りていないなら探さないといけないので、円満退職を希望するなら2~3ヶ月前から動き出しましょう
退職までの有休消化も視野に入れて、
早めから行動するのがオススメ!
また、上司や会社との関係があまり良くなく、退職を言い出しづらい方もいると思います。
そのような場合は、退職代行サービスを頼るのも1つの手段
最近ニュースでも「退職代行」というワードをよく聞きますよね!
最もメディアで取り上げられいる退職代行モームリについて調べてみましたが、一般企業が運営しているサービスでした。
弁護士監修・労働組合と提携している強みに加え、作り込まれたHPや退職確定5,000件超の実績・社員の顔を公開していて信用度が高いと感じました
YouTubeでは電話対応の動画が公開されているよ!
現場のリアルが見れて興味深いぜ…
金額は一律22,000円(アルバイトの方は12,000円)と追加料金がかからず、さらに退職できなかった場合は全額返金保証があるので、安心して依頼できます。
LINEで無料相談からはじめられるのも魅力的ですね◎
さらに女性スタッフが常駐しているため、男性より女性の方が相談しやすいという方にもピッタリです。
お金はかかってしまいますが、自分は最低限の手続きで頭を悩ませる会社とスパッと切れると考えると、出す価値はあるのではないでしょうか。
円満退職は叶いませんが、パワハラ・モラハラなどで
辛い思いをしている方にとっていいサービスだと思います
退職代行を使うのは気が引けるけど、一筋縄では退職できそうにない…という方には、退職までのサポートをしてくれるセルフ退職ムリサポ!というサービスがあります。
運営元は退職代行モームリと同じ会社で、退職確定件数5,500件・退職成功率100%の実績とノウハウから手厚いアドバイスを受けられますよ
金額は一律15,000円と退職代行より少し安いですね。こちらも同じく追加料金なし・退職できなかった場合は全額返金保証があるので、安心して依頼できます。
アドバイスをもらいながら
自力で退職したい方にオススメ!
人事と退職手続き | 1~2ヶ月前
上司から人事部門へ部下の退職連絡が届くと、退職願 (届)の提出が求められます。
会社フォーマットがあればその様式を使いますが、ない場合は以下のワードをご活用ください
1ページ目に記入例を載せているよ〜
退職願 (届)が承諾されると、人事部門から退職に関する手続き連絡が届きます。
手続き担当者の説明を聞いて、受け取る&返却する書類とタイミングを言ってなければ質問しておきましょう
引き継ぎと取引先挨拶 | 1~2ヶ月前
引き継ぐ量にもよりますが、1ヶ月から1ヶ月半は引き継ぎ期間を設けておくと良いです
取引先や関係各所へ担当者交代を伝えておくと、引き継いでくれた方も相手方も次からスムーズに連絡できるので、ぜひ伝えておきましょう!
書類受け渡しや備品返却する | 最終出勤日
有休消化がなければ退職日、有休消化があれば最終出勤日に、人事部門にて書類の受け渡しや備品返却を行います。
どのような書類かは退職に関する手続き連絡であると思いますが、足りないものがあれば聞いておきましょう
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 社会保険喪失証明書
会社から受け取る書類は、後ほど説明します!
会社へ返却するものは、主に会社が発行したり貸与していたものです。
他にも健康保険証も返却しますが、有休消化期間があれば退職日までは使えるので、後日郵送での返却が可能か確認してください
有休が残ったら有休消化しておこう
有給休暇は会社員の特権なので、有休が残ったら週に2~3回ずつでもいいし、まとめて消化してもいいのでぜひ使い切りましょう
有休日数は会社によりますが、前年繰越を含めると最大40日分ほどあるので、最終出勤日から1ヶ月〜1ヶ月半は消化できる可能性あり!
全部使うのはちょっと気まずいかもだけど、
権利だし辞めるから遠慮しなくていいよ〜!
会社から受け取る書類
次に会社から受け取る書類です。
ざっくり分けると、辞めるまでに受け取る書類と後日郵送で受け取る書類の2種類があります
そのほか、辞めたあとに会社以外からも届く書類があるのであわせて解説します。
どんな書類かリンクを貼っているので、
気になる方は飛んで見てね〜
担当者へ依頼しないともらえない場合もありますので、必要な書類はなにかを事前に把握しておきましょう
雇用保険関連
はじめに、雇用保険関連からです
雇用保険という言葉だけ聞いてもイメージしづらいと思いますが、会社を辞めたらハローワークでもらえるお金があると一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
雇用保険の保険料は主にハローワークが出す給付金に使われていて、会社を辞めたらもらえるお金とは、一般的に失業保険と言われることが多く、正式名称は基本手当です。
失業保険は転職活動をする方向けの給付金なので、フリーランスとして独立する方は原則もらえません。
ただし、雇用保険は独立がうまくいかず再就職することになった場合などに役立つので、ここからは頭の片隅に留めてただきたい情報です
雇用保険被保険者証は、あなたが雇用保険に加入していた証明と個別に振られた被保険者番号が記載されています。
雇用保険には週20時間以上働いていたら原則加入しているので、パートでもフルタイムでも一定時間以上の労働契約を結んでいたら被保険者証をもらえます。
独立する方は基本的に必要ありませんが、転職も視野に入れている方は被保険者番号の提出を求められるので、保管しておいてください
出典:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/info_1_e6.pdf
雇用保険離職票は2枚あり、原則転職活動をする方がハローワークへ提出して、基本手当(失業保険)をもらう手続きを行いますが、
独立がうまくいかず再就職することになった場合にも基本手当(失業保険)を受け取れる特例申請が可能となったので、万が一の場合に備えて、会社へ発行依頼をしておきましょう
出典:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/doc/info_1_e2_01.pdf
特例申請をしておくと本来の受給期間+最長3年間の計4年間延長できるので、”廃業後、再就職活動をしながら基本手当をもらう” という選択肢を作っておくことがポイント!
詳しくはこちらの記事をご覧ください!(作成次第掲載します)
社会保険関連
次に社会保険関連です
社会保険は主に健康保険と年金に分類され、今まで給与から天引きされていた健康保険・厚生年金保険料を自分で納めることになります。
年金は日本年金機構に保険料を納付し、健康保険は自分で加入先を決めてから保険料を納付します。
健康保険加入先の選び方についてはこちらの記事に詳しく書いているので、迷われている方はご一読ください
年金手帳は、個人ごとに振られた4桁と6桁の数字で形成される基礎年金番号が載っています。
入社時に会社へ預けていれば返却されますが、預けていなければ20歳の誕生月以降に日本年金機構から郵送されています。
令和4年4月以降に20歳となった子たちには、
年金手帳ではなく黄色い通知書1枚が送られているみたい!
特にどこかへ提出する書類ではありませんが、個人情報である基礎年金番号が載っているので保管しておきましょう。
出典:https://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/20131107.html
社会保険喪失証明書は、あなたが退職して健康保険と厚生年金の資格を喪失したという証明書です。
会社が発行しますが、書類が有効になるのは退職日の翌日からなので、退職日当日か後日郵送されることもあります。
手元に届いたら、健康保険と国民年金の切り替え手続きを行いましょう
健康保険と国民年金の切り替え手続きが終わったら、それぞれ納付書が届くので期日を守って納付してください!
税金関連
続いて税金関連です
給与から天引きされていた税金は所得税と住民税です。
独立するとどちらも自分で納付することになりますが、所得税は独立後の事業所得とあわせて確定申告・住民税は退職時期により会社が前納する場合があります。
退職から1〜2ヶ月後、その年支払われた給与や天引きされた所得税、社会保険料などが記載されている源泉徴収票が郵送されます。
もし届かない場合は、その年の11月頃までにはいつ送られてくるか問い合わせておきましょう
独立した方が実際使うのは確定申告が始まる翌年2/16〜3/15頃ですが、管理部門は12月になると繁忙期になるので、忘れられないうちに連絡することをオススメします!
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/pdf/0022006-151_01.pdf
居住地の市町村からは、住民税の納付書が送られてきます。
前述で “退職時期により会社が前納する場合がある” と記載しましたが、退職時期が1〜5月の場合原則一括で給与天引きされます。
1月に辞めた場合は5月分まで一気に給与から天引きされるので、給与手取り額は減ってしまいますが、しばらく住民税納付の心配は必要ありません。
退職月6月〜12月の場合は、退職月まで会社が天引き・納付してくれるので、後日住民税の納付書が送られてきたら期日を守って納付してください!
ちなみに、給与から引かれていた住民税は毎月分ですが、自分で納付する住民税は3ヶ月分まとめてなのでまとまった金額が必要です
自分で納付する住民税は全部で4回!
6月末・8月末・10月末・1月末が目安の期限だよ〜
住民税のお得な納付方法は、こちらの記事をご覧ください!(作成次第掲載します)
その他
最後は対象の方のみ届く書類です
会社に退職金制度があり、退職所得の受給に関する申告書を提出して受け取った方は、退職所得の源泉徴収票が郵送されます。
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hotei/pdf/h31/23100052-02.pdf
申告書を提出した人はすでに所得税の計算がされているため、原則確定申告不要です。どこにも使わない自分用の保管書類と考えていただいてOK
ただし、ややこしいのですが、給与所得と事業所得を合算して確定申告する場合は、退職所得も含めて提出しなければなりません。
出典:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_3.htm
退職所得に税金がかかるというわけではなくて、
全部の所得を合算して、住民税額や扶養控除などの
判定に使うよ〜(合計所得金額と呼ぶ )
会社が確定拠出年金に入っていて、自分も掛金をかけている場合はiDeCoに移換する必要があります。
退職してから1〜2ヶ月後に確定拠出年金の加入者資格喪失のお知らせとして喪失手続完了通知書が郵送されるので、その通知書が届けば移換手続きに進めます
出典:https://www.mizuhobank.co.jp/ideco/change_retirement/pdf/change_retirement_01.pdf
iDeCoはどこの金融機関に移すか自分で決めないといけないので、早めに探しておきましょう
退職した後の手続き
書類が届いたら順次手続きをしていきましょう
雇用保険手続き | 事業開始から2ヶ月以内
フリーランスとして独立する方は原則雇用保険の基本手当(失業保険)を受給することはできませんが、独立がうまくいかないケースを考えて特例申請をしておくことをオススメします。
会社を辞めた翌日に開業届を提出した場合、退職日(提出日)の翌日から起算して2ヶ月以内に特例申請をする必要があります。
特例申請には以下の提出書類が必要で、受給期間延長等申請書は退職日(開業届提出日)から1ヶ月後に申請できるため、念のため2回ハローワークへ行く想定をしておくと安心です
出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000952085.pdf
1回目は離職票が届いて1ヶ月後ぐらいに延長申請、
2回目は特例申請でハローワークへ行くってこと?
うん、その特例申請を2ヶ月以内に提出しておくことで、
4年間以内に事業がうまくいかなかったときの保険になるよ
社会保険手続き | 2週間以内
健康保険・年金ともに、退職日の翌日から2週間以内に切り替え手続きが必要です。
この切り替え手続きで会社発行の
社会保険喪失証明書の提出を求められることがある!
健康保険はこちらの記事の「各健康保険の手続き方法」に詳しく記載しています
国民健康保険加入ならお住まいの自治体窓口(または郵送)で手続き、任意継続加入なら加入用紙をダウンロードして提出してくださいね。
年金はお住まいの自治体窓口(または郵送)か、マイナポータルからも手続きができます。
マイナポータルからの手続き方法をまとめたので、小さくて見えない!という方は画像をタップして確認してみてください
確定申告 | 退職翌年
会社を退職した翌年2/16〜3/15は、独立後の事業所得+会社員時代の給与所得を申告する必要があります。
独立後の事業所得は「売上と必要経費」の情報、会社員時代の給与所得は「源泉徴収票」の情報があれば申告可能です
詳しくはこちらの記事をご覧ください!(作成次第掲載します)
iDeCo手続き | 6ヶ月以内(対象者のみ)
会社が確定拠出年金に入っていて、自分も掛金をかけている場合はiDeCoに移換する必要があります。
確定拠出年金は原則60歳まで辞めることができないので、ご自身で運用したい商品がある金融機関を探さなければいけません。
さらに退職日の翌日から6ヶ月以内に移換しないと、商品の変更ができなかったり管理手数料がとられたりとデメリットが多い
まずは金融機関を探しておいて、確定拠出年金の加入者資格喪失のお知らせが届いたら早めに移換手続きをしておきましょう
詳しくはこちらの記事をご覧ください!(作成次第掲載します)
【まとめ】手続きの流れをおさえておこう!
今回は、フリーランスとして独立する方へ辞める前から辞めた後までの退職ロードマップを解説しました。
退職前から辞めた後も内容盛りだくさんでしたね…ここまで読んでいただいた方へ、本当にお疲れ様でした
一度で全てを把握するのはなかなか難しいと思いますので、簡易版ロードマップのスクリーンショットを撮っておいていただければ幸いです!